リーダーの仕事は「混沌」の中にこそある

「リーダーとは何か?」

これまでのビジネス書では、リーダーとは理性的で、戦略的で、決断力があり、常に冷静沈着な存在として描かれてきました。
けれど、実際のリーダーの仕事ってそんなにシンプルなものじゃない。

トム・ピーターズの『リーダーの仕事』が教えてくれるのは、むしろ 「リーダーの日常は混沌としている」 という現実です。

リーダーの日常は「計画通り」にはいかない
ピーターズが調査した欧米企業のリーダーたちは、 次々と問題が降ってくる中で、瞬時に意思決定を迫られ、細切れの時間しか確保できず、時には悪いニュースすら届かない環境 で仕事をしていました。

彼らは、朝一でじっくり考え抜いた戦略を部下に指示し、午後には余裕をもって未来を見据える──そんな 「美しいリーダー像」 とは無縁でした。

むしろ、彼らの仕事は、

急なトラブル対応
言うことを聞かない部下への指導
想定外の外部環境の変化への適応
会議の連続と、決して終わらないメール対応
…といった 「予定調和とはほど遠い世界」 にありました。

それでも、リーダーはなぜ機能するのか?
そんなカオスの中で、なぜ彼らは組織を動かし、成功を生み出せるのか?

ピーターズが導き出した答えは、 「価値観のマネジメント」 でした。

リーダーは、完璧な計画を立てる人ではありません。
むしろ、 組織の価値観を示し、それを率先垂範することで、人々を導く存在 なのです。

例えば、Appleのスティーブ・ジョブズは、詳細なビジネスプランを作るタイプではありませんでした。
彼が繰り返し語ったのは、 「シンプルさ」「美しさ」「ユーザー体験の最優先」 という価値観でした。

この価値観が、Appleのエンジニアやデザイナーの行動指針となり、結果として 世界を変える製品 を生み出していったのです。

リーダーがやるべき「3つのこと」
もしあなたがリーダーとして「どうすればいいのか?」と迷っているなら、以下の3つの視点を持ってみてください。

① すべてが思い通りにいかないことを受け入れる
リーダーの仕事は トラブル対応の連続 です。
予定通りにいかなくても、それが「普通」だと思うことが大事。

むしろ、 「カオスの中でこそ、核心を見抜く力が試される」 ということを理解しましょう。

② 価値観を伝え続ける
人は 「何をすべきか」 よりも 「なぜそれをするのか」 に共感して動きます。
だからこそ、リーダーは ビジョンや価値観を何度も繰り返し伝え続けること が必要です。

あなたが大事にする価値観は何ですか?
それを明確にして、毎日の言動で示していきましょう。

③ まず自分が行動する
「率先垂範(そっせんすいはん)」──つまり リーダー自身が行動で示す ことが何よりも重要です。
どんなに立派な言葉を語っても、自分がそれを実践しなければ部下は動きません。

「顧客第一」を掲げるなら、 まず自分が顧客の声を聞く。
「スピードが大事だ」と言うなら、 自分が誰よりも迅速に動く。

これこそが 「リーダーの仕事」 なのです。

最後に…リーダーは「混沌を受け入れた者」
リーダーの仕事に「完成形」はありません。
毎日が戦いで、想定外の出来事の連続です。

でも、その混沌の中でこそ、 組織にとって本当に大切なことを見極められる のも事実です。

あなたが今、思い通りにならない現実に直面しているなら、それは 「リーダーの仕事をしている証拠」 なのかもしれません。

価値観を持ち、それを示し、率先垂範する──
それこそが、 本物のリーダーの仕事 なのです。

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