カステラで勝負する!
まだコロナ禍になる前のことです。
こんな相談を受けました。
「カステラ」の新商品を
創りたいんだけど・・・
「は?」ですよね。
カステラ・・・?
カステラなんて
どこにもでもあるし、
珍しくもなんともない!
新規参入して、勝算があるのか?
と、私は乗り気ではありませんでした。
でも、よくよく聞いてみると・・・
そのカステラは、
イスラム教徒向けの
ハラールカステラだというのです。
イスラム教徒は、
教義でお酒が飲めない分、
甘党が多いとは聞いています。
でも、日本にいる
イスラム教徒は、
多くて20万~30万人くらい。
これでは商売にならないのでは・・・?
そう思うのはごくごく自然ですよね。
創っては見たものの・・・
やはり全く売れません。
さあ、どうするか。。。
そこで、思い切って、
インドネシアに輸出すること
を提案しました。
インドネシアは人口の95%が
イスラム教徒です。
さらに人口は日本の約2倍。
国民の平均年齢は20代という。
まさにこれからの国です。
さらに緑茶にもお砂糖を入れて飲む
くらいの甘党の国民性です。
ということは・・・
糖尿病患者も多いのでは・・・?
調べてみると、
やはり世界第5位の患者数で
2000万人弱いるというのです。
10人に1人の割合ですよ !
ビックリです (@_@)
ちなみに日本は900万人くらいです。
そこで、カステラを改良しました。
どう改良したかというと、、、
食後血糖値の急激な上昇を
抑制すると言われている
難消化デキストリンを
カステラに練りこみました。
難消化デキストリンは
日本では特定保健用食品
として認可されています。
もちろんインドネシアには
トクホはありませんので、
大っぴらに効能を謳うことは
できません。
それじゃ、効能を宣伝できなければ
いい商品でも、売れないと・・・
思いますよね。。。
そこで、どうしたと思いますか?
この会社の社長は、
自らインドネシアの
有力なスーパーマーケットに
乗り込んで、
お金を払って棚を借りたのです。
おまけに、6か月間、
毎月2日間、試食販売を行うことも
約束してしまいました。
社長は、それから毎月
インドネシアに出張して、
自ら店頭に立って、
試食販売をしました。
味は問題ありません。
食べた人は、「おいしい」
と言ってくれます。
でも、地元のスイーツからすると
かなり割高です。
なかなか売れません。
そこで、社長は戦略を変えました。
誰にでも食べてもらうことを止めて、
とにかく「デブを狙う!」
事にしました。
そして、カステラのことはさておき、
糖尿病のこと、
放っておくと合併症など重篤な事態
に陥ることなどを
熱く語りだしたのです。
最後にこのカステラは
いくら食べても糖尿病には
影響しないと説明しました。
ハハハ。。。
日本ではこれは明らかに
薬機法違反で、即行政処分です。
6カ月後、、、
なんと、このカステラは
市民権を得て、定番商品に
なったのです!
・ハラールというコンセプト
・カステラという甘いお菓子
・インドネシアという新たな市場
・糖尿病向けという商品改良
・棚借りという強引な販売戦略
・試食販売という返報性販促
・ターゲットをデブに絞る
・熱く語る
・そして諦めの悪さ
こんなところにも、
モノづくりのヒントが・・・!!