課題共有から儲けが生まれる!
私は現役会社員の時は製品開発を担当していました。
しかし、製品担当といっても、研究者や技術者ではありません。
市場調査やニーズ探索から次の商品のヒントを見つけ出し、商品化するという、商品企画でした。
新製品の企画が出来上がり、社内稟議をとおし、さて、これから製品の設計に入るぞという時、研究所の研究員や技術員と意見交換をします。
まず、すんなりと企画が通ることはありません。
研究者や技術者の思考は、現状の延長線上から発想します。
そのために、私は、どうすれば彼らの発想をもっと柔軟にできるのかと思い悩むのです。
ある日、食事をしながらリラックスしている時に意見交換をしたら、違った発想が出てくるのです。
あれっ?と思って、聞き返すと、「会社では建前で話すので、どうしても上司の目を気にして、本音が話せない」というのです。
そうか!
ならば彼らに自分の意見を押し通すのではなく、彼らもメリットを感じる提案内容にすれば、すんなりと企画が通るのでは・・・
と思ったのです。
大阪府東大阪市で異色の企業連携があります。
クラスターテクノロジーが開発した、バイオマス素材を使い、有力くしメーカーのリーダーが設計・加工する。
くし通りなどで高い性能を求めるプロに受け入れられれば、脱プラのモデルケースとなりそうだ。
リーダーは理美容師向けのくしで国内最大手。
一般のくしに比べて滑らかさ、強度などで高い性能が必要なため、これまで主にポリエーテルイミドを使ってました。
きっかけは、クラスターテクノロジーが「パスコン」という新素材を昨年開発したこと。
ほぼ植物由来でありながら滑りやすく耐摩耗性にも優れているそうです。
もともとはギアやベアリングの用途を想定していましたが、なかなか採用にいたらず、くしに着目してリーダーに相談したのです。
リーダーによれば、プロの理美容師は髪をといたときの微妙な感覚を重視しており、合わないくしは受け入れないというのです。
同社がパスコンの特性を踏まえて設計・試作し、付き合いのある理美容師に使ってもらったところ、「くし通りがよく静電気も起きにくい」と高い評価を得たという。
両社はともに、ものづくりの街である東大阪市に本社を置きながら、それまでまったく交流がなかったそうです。
脱プラが引き寄せた異色の組み合わせです。
脱プラも食事会もきっかけに過ぎません。
要は「誰の」「どんな問題を」「どう解決するのか」といった共通の課題を共有できる「仲間」がいるかどうかがカギです。
「仲間」の重要性についても「モノづくりの教科書」では説いています。